どうも、山田店長(@yamada_tencho)です。
最近内部不正で店舗に損失があったんだけど、実際の内部不正の方法や手口を知って未然に防ぐ方法はないかなぁ・・・。
店舗を運営する上での店長の最大の責務は、売上を上げる事です。
一方で、売上から得られた利益を最大限残すために、販管費を可能な限り削減したりもします。
売上を上げ利益を残すことに店長として全力を尽くす訳ですが、時にそんな店長やスタッフの努力が欺かれる事があります。
それが、店舗内における内部不正です。
せっかく得た店の利益も内部不正において大きく奪われる事があります。
店長としては、この内部不正をいかにして防ぐかという事も利益を残すという意味では非常に重要になってきます。
現役店長が実際に店長を辞めたくなるたったひとつの理由とは!?でも触れましたが、実際私の店でも内部不正が幾度か発覚しました。
そのたびに自分の無力さに店長を辞めたくなったりもするのですが、この記事をご覧いただいている店長さんにもそう思ってもらってはいけませんので、ここでは
・内部不正をする理由
・内部不正の具体的な方法・手口
これらについて、月商5億従業員約300人の小売業現役店長が解説します。
内部不正の具体的な方法・手口を解説しますが、あくまでも悪用厳禁でお願いします。
また、これらの具体的な方法を知る事で、あなたの店でも同じ内部不正が起きないように事前に対策を打っておきましょう。
参考記事
⇒現役店長が伝授!小売業で売上を上げる超具体的な方法3選!
⇒店長の悩み⑩~現役店長必見!販管費・コストを削減する具体的な方法
そもそも内部不正は未然に防げないのか?
結論から言うと防げません。
どんな店舗でも、一般的な内部不正を防止する方法・対策はすでに取られていると思います。
ですが、その店ごとに事情が大きく異なるので、厳密にはその店ごとで内部不正防止マニュアルを作る必要があります。
当然そんな面倒な事も出来ないので、あったとしても本部・本社からは大枠での内部不正マニュアルしか下りて来ないのではないでしょうか?
内部不正には2種類あります。
マニュアルで未然に防げる内部不正とマニュアルでは防げない新しい方法での内部不正です。
前者の場合は「飛んで火にいる夏の虫」というやつですので、すぐに発覚します。
ですが、後者の場合がやっかいです。
マニュアルや前例のない内部不正については、発覚してからでしか対応が出来ません。
そして、発覚した時にはすでに店舗に甚大な被害を及ぼしている事が多々あります。
そうならないためにも以下の内部不正の具体的な方法・手口を参考に、あなたの店でも未然に防げる対策を講じる参考にしてください。
実際にあった内部不正の方法・手口とは?
それでは、実際に私が店長をしていて経験した内部不正の方法・手口を解説します。
これを知る事で、少しでもあなたのお店での内部不正を未然に防ぐための一助になれれば幸いです。
レジでの内部不正方法・手口
小売業におけるもっとも多い内部不正の方法・手口は、間違いなくレジでの不正です。
レジ不正の手口とそれを防止する具体的な方法を紹介します!の記事に詳細は書かせてもらっているのですが、本当に多いです。
レジの空打ち・現金の抜き取りなど、忙しくて悪知恵を働く時間はないはずなのですが、悪い事をする奴はどんな状況でもやる時はやります。
不正の方法も多岐に渡りますし、最近のレジならまだ不正は未然に防げるのですが、旧式のレジを採用している店舗だと不正の発覚が遅れる事も少なくありません。
不正が発覚した時には、店に甚大な被害を被った後だった、という事もありえます。
食品関連の内部不正方法・手口
スーパー等食品関連を扱う店舗では、この内部不正が最も多いはずです。
食品関連の内部不正の一番やっかいなのは、とにかくバレにくいという事です。
なぜバレにくいかというと、その棚卸し方法に原因があります。
例えば家電量販店であれば、商品の「数」が合わないとロスになり、原因を究明する事になります。
ですが、例えば惣菜のコロッケの数をひとつひとつ毎日棚卸しするかというと、実際はしません。
それに、調理する間に必ず食品ロスは出てきます。
つまり、製造から販売までにある一定の「ロス」が発生するのです。
このロスが非常にあいまいなので、言い方は悪いですが、コロッケがひとつやふたつなくなってもバレません。
食品関連を扱うスタッフだと、ちょっと馴れてくるとこの事実を知る事になります。
そして、その事実を知ってからは、お腹が空いたら店のコロッケ食べればいいや、という風になってきます。
さらにその内部不正の手口がエスカレートしてくると、弁当やおにぎりを持ち帰ったりするようになってきます。
もうコンビニ代わりです。
自分の店では、深夜帯のアルバイトの内部不正の方法でもっとも多いのがこれでした。
どうしても深夜帯だと従業員も少ないですし、監視の目はゆるくなります。
ただし、内部不正防止用のカメラの目以外は・・・。
ちなみに、私の店では、こういった内部不正を防ぐために↓のようなダミーの防犯カメラを多く設置しています。
価格も手頃ですし、設置も非常に簡単です。
従業員には一切告知せずにバックヤードに設置すると効果があると思います。
未然に防ぐという意味では費用対効果は高いと思いますので、バックヤードでの不正にお困りでしたら一度試されてみてはいかがでしょうか?
配送商品に関する内部不正方法・手口
この方法実際にあったのですが、やったのは入社後数ヶ月のまだ新人のアルバイトでした。
手口としては、
です。
後日その犯人の家に現物を確認しに行ったのですが、家の中にある生活必需品はほぼ自分の店の商品だったのを見た時はぞっとしましたね。
ちなみに、なぜこの内部不正が発覚したかというと、家電製品の複数が棚卸しで数が合わず追求していくと、同じ住所にその数の合わない商品が送られていたからです。
なんとも稚拙な手口ではありますが、確信犯的にこれをされると最初は気付かないんですよね。
で、気づいた時にはその被害金額は膨れ上がっており、本人も弁済できない金額になっていました。
最終的には親に弁済させる事で被害金は回収できましたが、そこに至るまでの労力と私の失望感は今も癒える事はありません。
経理担当者の内部不正方法・手口
経理担当者はいわば店長の右腕でもあります。
日頃からコミュニケーションを取って、良い意味で事前に内部不正等ないようにしないといけません。
特に現金に触れる機会の多い経理担当ですから、他のスタッフと同じでは困ります。
やろうと思えば金庫保管の現金を持ち出す事も可能なのですが、実際私の店で発覚した経理担当の不正の方法・手口は次の通りです。
ただこれだけです。
店舗備品・事務用品として、自分で買ったものを店の経費として精算していたのです。
今時100均一ショップではなんでも揃っています。
そこで買ったレシートを店舗で精算して着服していたんです。
うちの店では店舗備品関連等を100均一ショップで購入する事がよくあります。
当然レシートには商品名が記載されているのですが、実際にはその商品名までチェックするという機能がありませんでした。
少額だという事と、店長の決済印が押されているので、本部でもほぼスルーとなっていました。
しかも、この経理担当は、不定期に少額ずつを着服する方法を取っていため発覚も遅れてしまいました。
後日ヒアリングしたら、「お小遣いが欲しかった」との事。
ちなみに、他に大きな余罪がなかったからよかったようなものの、これがエスカレートすると、それこそ金庫のお金を持ち出す事にもなりかねませんので、ある意味未然に大事を防げたと思ってもよかったのかもしれません。
棚卸し時の内部不正方法・手口
大体高額品の持ち出し関連の内部不正は棚卸しで発覚します。
うちは外部業者に棚卸しを委託しています。
基本的に店舗の従業員が棚卸しで数量をカウントする事はありません。
ですが、委託業者も棚卸しのプロではありますが、商品単品ごとのプロというわけではありません。
商品によっては特殊なカウント方法を行う物もあります。
なので、通常棚卸しの際にはうちのスタッフも立ち会うのが通例となっています。
ここで、
例えば、空箱なのに中身は別で保管しているとして、その箱のJANを読み取らせたりします。
所詮委託業者なので、こちらからの指示に疑問を抱き質問してくることはありません。
言われるがままです。
ちょっと熟練のスタッフだと、こういった内部不正の方法・手口を思い付くんですよね。
ちなみに、これを防ぐ手段としては、
これしかないです。
取引業者との取引に関する不正
バイヤー関連に多いのが、取引業者との不正です。
仕入れ権限を持つが故にどうしても甘い言葉をかけられたりすることもあるでしょう。
接待を受けたり、サンプル品を大量にもらったり・・・・。
これはどこの小売業界でも実際にある事だと思います。
うちの店は、各部門の担当者に仕入れ権限があります。
当然本部でも商品の仕入れをしていますが、店舗でも独自で仕入れていますので、どうしてもそういったモラルがまだ低いスタッフがいるのも事実です。
そんなスタッフに対して取引業者が、過剰なサンプルを手渡したり、店舗外で商談と称して接待をしたり。
また、スタッフ側からそれを要求したり。
店長としては、商談の細かい内容まで把握できませんし、具体的にこの不正について未然に防ぐ方法はありません。
ただただ、日々部門担当者と蜜なコミュニケーションを取って、モラルを育むしかありません。
内部不正をする理由
ここまで実際に私が経験した内部不正の方法・手口を紹介して来ましたが、そもそもなぜ内部不正は行われるのでしょうか?
その理由が分かれば、100%ではないにしても未然に防げる内部不正もあるはずです。
ここでは、実際に内部不正した元従業員からヒアリングした内容を記載しておきますので、もしあなたのお店でもそういったスタッフがいれば注意が必要です。
借金
パチンコ・競馬・競輪・競艇・・・・
日本には公営ギャンブルが多数ありますが、そんなギャンブルにはまって借金を作って首が回らなくなった人間は不正を働きます。
私の経験上の内部不正の理由として一番多いのが「借金」です。
この内部不正の特徴としては、最初はその不正内容は取るに足らないようなちょっとした事だったりします。
ただ、それがエスカレートしてきます。
100円の不正がばれない。
1000円もばれない。
5000円だってばれない。
気が付いたら数万、数十万に膨れ上がる。
そこまで行けば内々で処理するわけにもいかず、いわゆる業務上横領罪という罪に問われる事になります。
出来心がエスカレート
最初はちょっとした興味本位から行われる内部不正もあります。
この場合その手口・方法は稚拙ではあります。
ですが、逆に稚拙故に気付かれにくかったりします。
↑でも解説した食品の内部不正もそうなのですが、最初の動機は単純です。
お腹が減った時に目の前におにぎりが大量にあって、まぁひとつくらいなくなってもバレないだろう・・・。
そんな出来心から内部不正は行われます。
いつしか気付いた時には、店の食料品を自分の冷蔵庫代わりに使っていた・・・。
これも本当によくあります。
最初はちょっとした軽い気持ちから、それが徐々にエスカレートします。
その頃には自分がやっている事に対する悪気もなくなり、それが普通になってきます。
自分が何をしたかに気付くのは、その内部不正がバレた時です。
当然気付いた時にはもう手遅れな状態になっているのですが、そのくらい人間の感覚というのは麻痺しやすいものなのです。
黒社会とのつながり
あまり詳細は言えないのですが、実際に私の店で高額品がなくなるという事案が発生した事があります。
結果として内部不正による商品窃取でした。
その犯人は私の店で3年程勤務しており、まだ20代のどちらかというとまだまだあどけなさの残るかわいらしい女性でした。
人あたりもよく活発で、スタッフの間でもいい意味で目立つ子だったのですが、黒社会とのつながりを持っていたのです。
で、その黒社会からの指示で店の商品を窃取したのです。
後から知ったのですが、その子の背中には大きな刺青が彫られていたようです。
人は見かけによらないと言いますが、まさにその子がそうでして、正直自分自身も人間不信になりそうでした。
こういった裏切られるという経験は、店長いう仕事をしているとどうしても付きまとって来るのですが、いつの時も辛い気持ちになってしまいます。
・もっとして上げられる事があったんじゃないか?
後悔先に立たずです。
未然に防止出来る内部不正については、事前に手を打っておきましょう。
まとめ
以上、様々な内部不正の方法・手口を紹介しましたが、あなたのお店は大丈夫ですか?
実際の内部不正の方法・手口を知る事で、それを未然に防ぐための材料していただければ幸いです。
私の経験上、内部不正のポイントは以下です。
・それが徐々にエスカレート
・発覚した時には甚大な被害になっている
こういう内部不正のパターンが非常に多いです。
そうなるまで気付かなかったのか?と思われるかもしれませんが、内部不正の方法・手口は多岐に渡ります。
過去に行われた内部不正についてはその防止策を講じる事が出来るのですが、新たに行われる内部不正については正直決定的な防止策はありません。
唯一言える事は、
という事でしょうか。
それは店長としての自分の責任でもあるのですが、日々のコミュニケーションがしっかり出来ていれば、出来心が芽生えた時の抑止力になっていたかもしれません。
あなたのお店でもそうならないように、今一度アルバイトや社員スタッフとのコミュニケーションの取り方を見直してみてはいかがでしょうか?
参考記事
⇒レジ不正の手口とそれを防止する具体的な方法を紹介します!
⇒【悪用厳禁】具体的な万引きの方法・手口を現役店長が徹底解説!
⇒【コスト別】万引き防犯対策の具体的方法を現役店長が伝授します!
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