【現役店長が解説します】最も効率的な商品値上げのタイミング・方法とは?

値上げ
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どうも、山田店長(@yamada_tencho)です。

 

店長という仕事をしていると、本当に日々色々なトラブルに見舞われたり、それが時には悩みの種にもなったりします。

 

売り場作り、売上管理、従業員管理、クレーム対応等。

 

今回は、

 

「最も効率的な商品値上げのタイミング・方法」

 

の悩みについて解決します。

 

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2022年は値上げの年だった

値上げ

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2022年は原油高や原材料高騰に加え、ロシアによるウクライナ侵攻や円安も大きな要因となり、過去に類例を見ない値上げの年となりました。

 

即席めん、小麦粉、調味料、飲料、菓子、酒類、冷凍食品、乳製品・・・とにかくほぼすべての食料品が大幅な価格改定を行い、家庭に大きな打撃を与えたのは記憶に新しい所です。

 

では、2023年はどうかと言うと、すでに値上げを発表しているメーカーもあり、まだまだ値上げの波は収まりそうにありません。

 

・仕入れ原価が上がったからと言って、価格に転嫁し単純に値上げすべきか?
・お客様のためにも、価格を据え置きにした方がいいのか?
・売り手として最善の方法は一体どうすればいいのでしょうか?

 

値上げしないと店の利益も減り、店舗運営がままならなくなる。

 

そこで、いくつか実例を挙げて具体的に商品の値上げのタイミングや方法を紹介します。

 

値上げしない

メーカーの商品価格改訂に伴い仕入れ原価が上がった際の理想的な対応は、ずばり!

 

「値上げしない」

 

です。

 

それができれば世話はない!と思われるかもですが、改めてこれについては考える必要があります。

 

いわゆる超ドNB商品というのは、お客様の価格感度も高く、その価格次第でお店の人気を左右する事がままあります。

 

もしあなたのお店の印象が、商圏内で「〇〇の安い店」という印象を持たれているのであれば、その商品群についての価格見直しは相当慎重に行う必要があります。

 

なぜなら、

 

値上げをする事で、お客様があなたのお店に持っている印象が変わってしまうから

 

です。

 

さらに、「〇〇の安い店」という印象の強い店がその強みであるカテゴリの値上げをしてしまうと、逆に「〇〇を値上げした店」という風に捉えられてしまいます。

 

この、お客様が小売店に持つ印象というのは非常に重要です。

 

生鮮食料品でもそうですが、A店は魚が新鮮、B店はお肉が安い、C店は野菜の品ぞろえが豊富等、特に主婦層は購入する商品によってお店を使い分けていたりします。

 

そう考えると、安易に値上げはできませんよね?

 

それは分かっているけど、じゃあずっと値上げしないまま店が赤字を切ればいいのか?というとそうでもありません。

 

値上げするにしても様々な方法があるので、その一例を紹介します。

 

在庫を抱える

仕入れ原価が上がる際にもっとも有効な方法が、

 

「在庫を抱える」

 

という事です。

 

仕入れ原価が上がる前の旧原価で大量に仕入れて、店頭価格をギリギリまで抑えるという手法

 

です。

 

お客様が実際に値上げ前に抱え込むのと同様、店舗も旧原価の在庫を大量に抱えます。

 

これについては、可能であれば本部が動いて大量にストックを抱えておくことも念頭に置くべきです。

 

缶詰や食用油等、賞味期限の長い商品については、物流拠点に平時よりも多く在庫を各店舗へ手配するのもひとつの手です。

 

実際、大手量販店はこの手法を多く取っており、メーカー出荷価格が値上がりしてもストックを持っておいて値上げを遅らせるという事をします。

 

そうして店頭価格を少しでも長く据え置くことで、お客様に安さの訴求をする事ができ、お店の人気に繋げる事が出来ます。

 

そう言われても、うちは大手じゃないからそんな大量にストックを置いておく場所なんかないよ・・・と思われるかもしれません。

 

そんな場合は、ぜひベンダー(仕入れ問屋)様に交渉してみてください。

 

ベンダー様に在庫を持ってもらう

本来はベンダー様にも喜ばれる方法ではありませんし、ややグレーな方法ではありますた、これは日頃の商談等でどれだけお互いが信頼関係を持ち、寄り添った商談が出来ているかでも変わってくると思います。

 

もし、ベンダー様と良好な関係が築けているのであれば、

 

ベンダー様で在庫を持つことができないか

 

と交渉してみましょう。

 

具体的には、伝票は値上げ前の月で計上し、納品は値上げ後の月に納品するというものです。

 

月内にメーカーからベンダー倉庫に入れてもらって、そこからの出庫を翌月以降に回してもらう。

 

当然ベンダー様としても、月末在庫を抱えたくありません。

 

ですが、ベンダー様と日頃から良好な人間関係を築けているのであれば、交渉の余地ありです。

 

ちなみに、この方法は独占禁止法の「優先的地位の濫用」を推奨するものではなく、交渉の手段のひとつとして認識いただければ幸いです。

 

次に紹介する方法も、ベンダー様との信頼関係があるかどうかで左右されてしまうかもしれません。

 

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値上げ交渉で別途特売仕入れを行う

交渉する

交渉する

通常ベンダー様との商談の中で、特売の提案をもらう事があると思います。

 

もしくは、チラシ掲載等でこちらから条件をお願いする事もあるはずです。

 

発想はそれと同じなのですが、

 

メーカーの出荷原価が上がった後も、特売原価として旧原価で納品

 

してもらいます。

 

ただし、当然一ヶ月通してその原価という訳にもいきません。

 

そこで、例えば毎週月曜日納品分だけは旧原価で特売原価として条件をもらえるよう交渉してみてください。

 

ベンダー様としても、メーカーの出荷原価が上がったからと言って自分達の数字を落とすわけにはいきません。

 

なので、見返りの交渉は必要になってくるかもしれませんが、ベンダー様も100%NOとは言わないはずです。

 

別にそこに漬け込むわけではありませんが、ひとつの交渉術として知っているか知らないかで差が出ると言っても過言ではありません。

 

事前にお客様に伝える

次は、

 

お客様への伝え方で店の印象を良く見せる

 

という方法です。

 

これは、某大手スーパーでも使われている手法です。

 

「〇〇の理由によりこちらの商品は〇月から値上がりとなります。」という告知を行い、値上げ前にお客様にストックするよう呼びかけます。

 

それって意味あるの?と思われるかもですが、実はこれの効果は馬鹿になりません。

 

というのも、この告知をすることで、「事前に値上げになる事を知らせてくれる正直でお客様本位なお店」という印象を持ってもらう事ができます。

 

そう思われる事を逆手に取ってあえて告知をするという訳ではないですが、やはり真正直に商売をしているとお客様には伝わるものです。

 

こういった告知で真摯にお客様に向き合うというスタイルは、長い目で見れば必ずプラスとなります。

 

ですので、事前告知をすることで値上げ前にお客様に大量購入されて、値上げ後に大きく売り上げを落とすと心配になるかもしれませんが、そこは勇気を持ってお客様と真正面から向き合われる事をおすすめします。

 

ただし、物によってはおいそれと値上げする事が顧客離れにつながることもあるので注意が必要です。

 

では、そういった商品はどのようなタイミングで価格を上げればいいのでしょうか?

 

競合店の出方を見る

メーカーの値上げのタイミングで顧客を獲得するために最も重要なのは、

 

「価格感度の高い商品程、商圏内で一番最後に値上げする」

 

という事です。

 

これだけを聞くと、単純に競合店と我慢比べするの?と思われるかもですが、そうではありません。

 

価格感度の高い商品については、しっかり競合店の価格を調査しましょう。

 

あれもこれもというつもりはありません。

 

価格感度の高いNB品に厳選し、これだけはという商品については、ギリギリまで値上げを抑え、出来れば競合店が値上げしてからこちらがワンテンポ遅らせて値上げします。

 

これにはある一定の労力も必要になりますが、それに見合うだけの効果はあります。

 

すぐに目に見える効力ではないですが、値上げのタイミングを抑えるのはお客様のためですよね?

 

そうです、

 

お客様のためにやった事というのは、必ずお客様に伝わります。

 

そして、それが店側とお客様との信頼関係に繋がります。

 

この信頼関係を築く事ができれば、商圏内でのあなたのお店の地位は絶対的なものになること間違いなしです。

 

値上げのタイミングで他商品の価格も見直す

メーカーの値上げのタイミングで他商品の価格を見直す事もおすすめです。

 

先に言っておきますが、決して便乗値上げではありません。

 

「適正価格の見直し」

 

です。

 

具体的には、

 

安すぎる価格の見直し

 

です。

 

消費者目線で言えば、安すぎるに越したことはありません。

 

ですが、経営者目線では1円でも高く売りたいはずです。

 

あくまでも、

 

高く売りつけたいという意味ではありません。

 

しばらく価格を見直さないと、商圏内で最も安いのだけど、安すぎる価格になっている事があります。

 

例えば、競合店が298円で販売している商品を、うちの店では258円で販売しているとします。

 

258円でも粗利益も取れているし、安くお客様に提供できれば人気にも繋がるのでは?と思うかもですが、これは違います。

 

よくあるのですが、

 

店頭価格を決める際に仕入れ原価から価格を決めていませんか?

 

または、店舗で目標設定されている粗利益率をもとに価格を決めていませんか?

 

本来の値付けの基本は、「商圏内において顧客が最も安いと感じる最大売価」に設定する事です。

 

つまり、258円で利益を確保できているからそれで良いのではなく、288円でもっと利益を取るべきなのでは?という考えです。

 

これが出来る店長と出来ない店長で大きな差が出ると言っても過言ではありません。

 

258円から288円にすると値上げになるのでは?と思うかもしれませんが、あなたのお店は非営利団体が運営する店舗ですか?

 

そうではないですよね?

 

お店が利益を得ることで従業員の給料も払えるし、その家族を養うことができる訳ですよね?

 

会社である以上、利益を得られなければ従業員の雇用を守ることもできません。

 

何も利益至上主義的な考え方をしろと言うつもりはありません。

 

本来得られる利益を盲目的になって損失していませんか?

 

ということです。

 

今までこの考え方をしてこなかった人からすると相当悩ましい考え方だと思います。

 

ただ、この考え方ができるかどうかで店の運営も大きく変わってきます。

 

価格を見直すことで本来得られる利益を得て、福利厚生を見直すもよし、お客様サービスの拡充を図るもよしです。

 

貧乏ひまなしで店舗の修繕もままならず、壊れたままで使われる備品の数々。

 

そんなお店を見た事ないですか?

 

言い過ぎかもしれませんが、今や小売り大手による業界の再編も続いています。

 

そこで生き残るためには、常にお客様目線で売り場に立ち、かつ経営者目線でいかに1円でも多くの利益を得ることができるか?

 

これを常に考え続けないといけません。

 

それを放棄すると徐々に店の劣化が始まります。

 

そうならないためにも、商品ひとつひとつの価格を見直して、本来得られる利益をしっかり確保しましょう。

 

まとめ

2023年もまだまだメーカー値上げがあるものと想定されます。

 

2022年にあれだけ大量の値上げがあったので、ある意味盲目的に店頭価格の値上げをしてしまっていたかもしれません。

 

それがダメだというつもりは全くありません。

 

賃金は上がらず消費に回すお金ばかりが増えていきます。

 

そんな中、消費者は1円でも支出を抑えるためにはどうするかを真剣に考えています。

 

そんなお客様に真正面から正直に向き合わない訳には行かないはずです。

 

それができない店舗は簡単にお客様に見透かされ、次第に足が遠のいて行かれます。

 

そういったお店が今後どうなるかというと、それはもう火を見るよりも明らかです。

 

あなたのお店がそうならないためにも、このタイミングで再度価格の見直しをするタイミングや方法を見つめ直すきっかけとなれれば幸いです。

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プロフィール

山田店長

飲食店スタッフ⇒通信機器販売員⇒食品バイヤー⇒大手小売業現役店長へ。
現在は月商約5億・従業員数約300人の店舗で店長をやっております。店長経験はもう10年以上。
この経歴を元に、店長として持ってる知識と経験をここでお伝えしていきます。
現役店長さんの日々の業務に、少しでもお役に立てれば幸いです。

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