【現役店長が解説】損切りで最も重要なのは“タイミング”と“スピード”

損切りで最も重要なのは“タイミング”と“スピード”
損切りで最も重要なのは“タイミング”と“スピード”

どうも、山田店長(@yamada_tencho)です。

 

小売業において損切りで最も重要なのは、

 

いつ撤退するかという“タイミング

 

と、

 

撤退を決めてから撤退完了するまでの“スピード

 

が重要です。

 

いつまでも売れない商品を様々な事情により売り続けたりする事は、ただただ傷口を拡げるだけで何のメリットもありません。

 

しかし、頭では分かっていても、心理的に「ひょっとしたらまた売れるかもしれない」、「また売れるトレンドが来るかもしれない」という思ってしまうのが人間の性というものです。

 

ですが、その考え自体があなたの会社・お店を潰す事にもつながりかねません。

 

以下では、具体的な損切りのタイミングとスピードについて、小売業の店長目線で解説いたします。

 

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欲を出すから大損をする

欲を出すから大損をする

欲を出すから大損をする

人間誰しも欲があります。

 

商売をしている以上、その欲は利益というものに置き換わります。

 

いかに効率よく大きな利益を出すか?

 

私も店長という職責上、その点においては他のどの従業員よりも強く意識しています。

 

ですが、そういった利益に対する意識が高ければ高いほど、つい欲を出して周りが見えなくなってしまい、いつの間にか大きな赤字につながるという事があります。

 

少しの赤字で早めに撤退すれば傷口が大きくならなくて済んだものを、撤退をずるずる先延ばしにすることで、逆に引くに引けない状況に自らを追い込んでいく。

 

あなたもそんな経験をされたことがあるのではないでしょうか?

 

私も実際にそういった状況に陥ったことがあるのですが、今冷静になって考えてみれば、あの時は間違いなくリーダーとしての判断を間違っていたと言い切れます。

 

ただ、その当時渦中の私はリーダーとしての適切な判断をすることができませんでした。

 

その理由は以下の通りです。

 

過去の成功体験を忘れられなかった

今でも後悔しているのですが、私も損切りのタイミングを見誤って大きな痛手を被ったことがあります。

 

当時、メーカーイチ押しの超大型新商品「A」がありました。

 

この時私は、この新商品「A」は売れるだろうと踏んでいました。

 

CMも有名女優を起用し大量投入。

 

メーカーの販促物もある。

 

発売時のメーカー店頭販売も協力してもらえる。

 

当然商品の味も良い。

 

もはや売れない理由はない!

 

店頭一等地に大量陳列をし、販促物の展開もバッチリ。

 

価格も他量販店の予想売価をくぐる価格に設定。

 

もう文句なしです。

 

発売日初日から一体いくら売り上げるだろうかと期待していたのですが、

 

なぜか思った程売れず。

 

発売日は平日だし、まだCMの認知も付いてなかったのかな?とも思っていたのですが、その週の土日を終えても売り上げは振るわず。

 

なんだかおかしい。

 

いつもならもっと売れるはず。

 

これまでいろんな商品を見て売れると目利きし、そのセンスで売れる商品を最大限に売り込んで来た。

 

自分の目に狂いはない。

 

その時はそう言い聞かせていました。

 

当然の事ながら、その後もその新商品「A」の売上が大きく伸びることはありませんでした。

 

過去の成功体験による失敗

ここまで自分が売れると信じていた商品が、全く鳴かず飛ばずだったのはこの時が初めてでした。

 

発売初日後は、まだまだこれからだと思っていました。

 

一週間経った時には、自分の目に狂いはないはずだと。

 

過去にも大型新商品を●●万円売って来た実績がある。

 

だから、この商品も売れるはず。

 

以前の新商品「B」と同じくらい売れれば、売れるまでの期間に時間がかかったとしても大丈夫。

 

ここから爆発的に売れれば何の問題もない。

 

そう思い続けてはみたものの、

 

それからもその商品が爆発的に売れることはありませんでした。

 

そして、結果的に売れ残りを防ぐために、残った商品を赤字で販売しないといけなくなってしまいました。

 

陳列する場所だってタダではありません。

 

一等地である以上、その場所に見合った売上を立ててもらわないと困る。

 

それなのに私は、過去の成功体験に幻想を抱き、売れるかどうかも分からない商品に対して、成功した前提の思考回路を持ってしまっていたのです。

 

こういった時の人間の思考とはおかしなもので、失敗を恐れるというよりは、「自分は間違ってるはずはないのになぜ売れないのか?」という思考に陥ってしまうんです。

 

そして気づいた時にはすでに手遅れで、その損失を取り返すためにまた別の労力と原資が必要となってくるのです。

 

過去に多くの成功体験を積み重ねて来た人ほどこういった思考になりがちだとは思うのですが、では一体どうすればこのような失敗を防ぐことができるのでしょうか?

 

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傷口を最小限に抑える具体的方法

販売計画の中に具体的数値を織り込む

何か計画を立てて、その計画が失敗したとしても、その傷口を最小限に留めるにはどうすればいいのでしょうか?

 

答えは簡単で、

 

「販売計画の中に損切りのための具体的数値を盛り込む」

 

です。

 

つまり、損切りするタイミングを事前に決めておくのです。

 

販売計画を立てる段階で売れなかったことを想定するという事に抵抗のある人もいるかもしれませんが、これは至って普通です。

 

むしろ、経営者やリーダーである立場の人間であれば、リスクヘッジを考慮すべきです。

 

通常販売計画とは、売れる事を前提に作成します。

 

1ヵ月でいくら、半年でいくら、年間でいくら・・・。

 

一定期間においてこれだけがんばって売ろう!という計画は立てますが、

 

売れなかったらどうする?

 

という事については販売計画には記されていないことも多いのではないでしょうか。

 

私のお店では過去の失敗体験を元に、販売計画には必ずどれくらいの期間でどのくらいの売上がなければ撤退する、という事を明記しています。

 

どれだけ利益の取れる商品であったとしても、どれだけ世間で話題でトレンドの商品であったとしても、必ず損切りするための撤退の目安となる数値目標を設定します。

 

でないと、いつか売れるだろうという気持ちから傷口が拡がり、気づいた頃には手遅れになってしまいかねません。

 

販売計画を立てる段階で売れなかった時の事を考えるという事にネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、これもリスクヘッジのひとつです。

 

損切りを決めたらスピードを持って撤退する

販売計画の段階で損切りの目安となる数値目標を設定し、実際に計画を実行していく中でその数値目標に達したら、即損切りをし撤退しましょう。

 

ポイントは、

 

絶対に損切りをためらわない

 

という事。

 

人間は、いざ本当に損切りをするというタイミングになると躊躇してしまいます。

 

損切りをするということは、失敗を認めるという事になります。

 

誰しも失敗は認めたくないものです。

 

ですが、事前に損切りの数値目標も設定しているのですから、むしろこの損切りや失敗さえも計画の範囲内なのです。

 

そうすることで、傷口を最小限に抑えることができ、次の計画にもすばやく移行することができるようになります。

 

そして、このスピード感を持って損切りをする上でもうひとつ重要になるのが、人間特有の“感情”です。

 

感情に左右されない

販売計画の中に損気りのタイミングを明確に数値化することで、商品が売れなかったとしても損切りのタイミングさえ間違えなければ傷口を最小限に抑える事が出来ます。

 

ですが、それ以上に重要なのは、

 

「感情に左右されない」

 

という事です。

 

先にも述べましたが、この感情のコントロールというのが実に難しい。

 

これは、人・物・金、すべてに対して必要なリーダーとしての大事なスキルだと言っても過言ではありません。

 

好き嫌いで人に接しているとリーダーとして誰も認めてもらえません。

 

それと同じで、物に対しても過去の経験に基づく感情に左右されるのではなく、あくまでも数字で明確に定義しておくことが重要です。

 

売れてる時はとことんまで売り込めば良い。

 

一方、売れない時は、事前に販売計画に明記した撤退すべき数値の指標を遵守する。

 

そこには一切の感情の入り込む余地はありません。

 

逆に感情を挟み込まないからこそ、リーダーとしてその時々でのベストではないにしても、ベターな選択が出来るというものです。

 

この判断は、一般従業員には出来ませんし、それが出来るからこそリーダーなのです。

 

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損切り後にすべき事

損切り後にすべき事

損切り後にすべき事

失敗を失敗だと認め、事前の販売計画に基づきリーダーとして適切な判断をし、損切り撤退した後には必ず検証が必要です。

 

その検証には、小売業界でも頻繁に使われるPDCAが非常に有効です。

 

PDCAとは・・・

 

P(PLAN=計画)
D(DO=実行)
C(CHECK=検証)
A(ACTION=改善)

 

これらの頭文字を取った略称です。

 

例えば、何かを販売する際には、まずは販売計画を事前に立て(PLAN)、それに基づき販売を開始(DO)します。

 

次にその販売結果を検証(CHECK)します。

 

想定通りの数値結果となったのか?それとも期待通りに行かなかったのか?

 

販売計画に対してのブレを検証し改善(ACTION)する。

 

物を売るという事は、このPDCAの繰り返しです。

 

PDCAなんて散々言われて来ているので、知ってる人も多いでしょう。

 

ですが、実践している人はそう多くはありません。

 

大抵は計画を立てて実行して満足しています。

 

売れればそれで満足し、売れなくてもその失敗の原因を追究する事なく次の販売計画へ。

 

成功は多いに評価するが、失敗は見向きもされない。

 

本来であれば、失敗は次の失敗に繋がらないためへの布石でもあります。

 

つまり、

 

失敗から何を学ぶか。

 

これの学びによって次の成功に近づくという事を知っているかどうかで、その後の勝率は大きく変化します。

 

なぜ売れなかったのか?

PDCAの中で最も重要なのは「C(CHECK=検証)」です。

 

具体的にこのCHECKでやらないといけないのは、なぜ売れなかったのか?という事の検証です。

 

商品を販売する際には、まず販売計画を立てて、具体的な行動計画も立てます。

 

そして、売上を●●万円作るためにはどうするか?

 

これについて時に逆算しながら試行錯誤をする訳ですが、どんなに時間をかけて販売計画を立てても売れない時も当然あります。

 

その時は、必ずなぜ売れなかったのかを検証しましょう。

 

・価格が高かったのか?
・ターゲット層とアンマッチだったのか?
・陳列場所が悪かったのか?
・販促方法が原因か?

 

こういった事を言うとみんな口に出さないまでも感じるのが、とにかく面倒だという事。

 

通常この検証作業をする頃には、次の販売計画が進んでいるはずです。

 

なので、目の前の数字を作るための作業(販売)を置いておいて、数字に繋がらない作業(検証)をする事に億劫さを感じるわけです。

 

そう思われても仕方がありません。

 

しかし、この検証をする事で、「同じ失敗を繰り返さない」ようになります。

 

何当たり前の事を言ってるんだ?と思われるかもしれませんが、これが本当にできません。

 

売れなかったら、まぁ仕方ないか。

 

こうやって、なんとなく売れなかった事に対して鈍感になっていませんか?

 

成功とは数多くの失敗から生まれるものです。

 

これは間違いないです。

 

失敗は成功の母とも言います。

 

数多くの成功体験を持ってる人間は確かに素晴らしい。

 

その一方で、

 

多くの失敗体験を持ってる人間はもっと素晴らしいのです。

 

過去の先人や偉人の逸話をご存知でしょう。

 

人は過去の失敗から学ぶ生き物なのです。

 

逆に言うと、失敗から学ぶことが出来なければ、大きな成功を手にすることもできないという事です。

 

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損切りとは次の利益につなげるということ

損切りと聞くとネガティブなイメージを受けるかと思います。

 

確かに過去だけを切り取って見ればマイナスになってしまいます。

 

ですが、ここまで説明して来たように、損切りをする事で失敗を学び次の成功・利益に繋げることができるようになります。

 

この損切りのタイミングは

 

リーダーがスピード感を持って、感情に左右されることなく決定しなければなりません。

 

逆にそれが出来てこそのリーダーだと言えるかもしれません。

 

そして、損切り後には次の成功のために失敗から多くの検証を行うこと。

 

それが、利益を追求するリーダーに求められるスキルだという事は間違いないでしょう。

 

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商売のコツ
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プロフィール

山田店長

飲食店スタッフ⇒通信機器販売員⇒食品バイヤー⇒大手小売業現役店長へ。
現在は月商約5億・従業員数約300人の店舗で店長をやっております。店長経験はもう10年以上。
この経歴を元に、店長として持ってる知識と経験をここでお伝えしていきます。
現役店長さんの日々の業務に、少しでもお役に立てれば幸いです。

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