どうも、山田店長(@yamada_tencho)です。
競合店を調査しようと思うんだけど、一体どんな所をチェックすればいいんだろう?
どの小売業界でもそうですが、私の働く小売業界も群雄割拠の時代が到来しています。
大手国内企業の凋落、海外企業からの買収、新興企業とのM&A。
正直、いつ自分の会社が他の会社に取って変わられるかも分かりません。
いつまで自分の会社が存続するかも怪しいかもしれません。
そこで重要なのが、敵を知るという事です。
敵を知り、己を知れば、百戦危うからず、です。
ということで、ここでは、月商5億・従業員数約300名の店舗の店長を務める、私山田の競合店の調査をする際に見るべきポイント、チェックすべき内容をまとめています。
是非、競合店を調査する際の参考にしてみてください。
競合店調査をする前にすべき事
当然ですが、調査に行く際には、事前の情報を最低限把握してから行きましょう。
いきなりその店を見に行ったところで、点でしか把握できない、ではお話になりませんので、事前の準備は必要です。
対象店舗(企業)の把握
事前に最低限把握しておくべき内容としては以下の通りです。
・企業規模(年間売上・店舗数等)
・営業時間
・取り扱い品目
・自店からの距離
・地理(駅・国道からの距離etc)
このあたりは最低限把握しておきましょう。
細かい点まで言い出すとキリが無いですが、事前に押さえておくポイントとしては、上記を事前に調べてから調査へ向かうといいでしょう。
アルバイトの口コミチェック
できれば、自分の店のパート・アルバイトさんから、その店の口コミを聞いておくといいでしょう。
スーパー業態なら、魚の鮮度がいいとか、値段がとにかく安い、とか、必ずその店ならではの特徴があるはずですので、その点は踏まえておくといいかと思います。
先入観を持ってしまうかもしれませんが、実際に顧客目線で見るべきポイントを知っておくことは必要です。
相手の長所と短所を事前に知っていれば、調査の際の見るべきポイントとしても活用できますので、地元のパート・アルバイトさんからヒアリングをしておきましょう。
競合店調査のチェックポイント~外観編~
いざ競合店に到着したら、店内に入る前に見るべきポイントがいくつかありますので、それぞれについて解説します。
ちょっと細かいと思われるかもしれませんが、最低限のチェックポイントになりますので、必ず自身の目で確認してくださいね。
調査する日の曜日と時間を意識する
競合チェックをする前に、まずは、調査を開始するその時の曜日と時間を確認してください。
当然月曜と日曜では客入り・品揃え・価格等も違ってきます。
また、時間帯によっても客層は変わってきます。
出来れば、競合店のピークタイムと思われる時間帯に調査するのが最も効果的です。
ピークタイムの売り場を見れば、その店の8割方を理解できると言ってもいいと思います。
あと、店舗が開店してすぐもチェックが必要です。
その店の立ち上がりの完成度がどれだけ高いかによって、店全体のオペレーションも見えてきます。
特に、チラシ掲載日初日のオープンしてすぐの店の状態で、その店の健康診断が出来ると言っても過言ではありません。
駐車場・駐輪場の台数チェック
ピークタイムに調査する前提でいくと、まずは駐車場・駐輪場のキャパ台数と現在の駐車・駐輪台数をチェックします。
車の来客が多いのか、それとも自転車で来られるお客様が多いのか、これは必ずチェックが必要です。
車社会の商圏であれば、十分な駐車スペースを確保しているでしょうし、路面店でワンフロアーだったりすると、自転車での来客が圧倒的に多かったりもします。
例えば車客の多い店舗だと、ケース売りやまとめ売りを多く行っていたり、週末型の売り場構成のはずです。
一方自転車客の多い店舗だと、野菜はカット物が多かったり、小物のお買い上げ点数UPの施策が店内に見られるかもしれません。
ケース売りよりもバラ販売、野菜のカット売り、2Lのペットボトルよりも500mlペットボトル等、客足が変わると店舗の品揃えは大きく変わってきますので、ここはしっかり把握しておく必要があります。
トイレ・ゴミ箱のクリンネスチェック
まずは、店頭のゴミ箱・トイレをチェックしてください。
曜日・時間帯にもよりますが、この2点が常にキレイな状態に保てているかは非常に重要です。
どんなに商品が安くて、品揃えがよくても、クリンネスの行き届いていないお店は、地域一番店になることはありません。
地域一番店といわれるお店は、必ずこのクリンネスが行き届いています。
あと、トイレを見る際は、衛生的かどうかもチェックが必要なのですが、個人的に重要視しているのが、清掃チェック表が設置されているかどうかです。
ここでちょっと質問です。
縦に時間、横にチェック項目、チェックボックスに担当者の名前を記入する、あれです。
よく鏡の横の壁にぶら下がったりしてると思いますが、どうでしょう。
このトイレ清掃チェック表の役割としては、「いつ・誰が・清掃チェックをしたかがひと目で分かる便利なツール」といったところでしょうか。
従業員が見ても一目瞭然ですし、お客様から見ても、いつこのトイレがチェックされたのかが分かれば、お店の信頼感も上がる、というものです。
最近はどこの量販店のトイレにもありますよね。
でも、私の店には、このトイレ清掃チェック表は設置していません。
なぜか?
トイレは常に清潔な状態に保てていて当たり前だから
です。
なので、わざわざそんなチェック表を設置する必要はありません。
いつも清潔な状態であれば、わざわざお客様に対して、掃除出来てますアピールをするも必要ありません。
そんなものがなくても、お客様がいつでも気持ちよくご利用いただける状態に保っておけるお店の方が、間違いなくお客様から支持を得る事ができます。
そもそも、こういうチェック表は、従業員を管理するためのツールであって、実態としては対してクリンネスも出来ていないのに、名前記入欄にはシャチハタの判がしっかり押されている、という状態になっていたりします。
もはや、設置当初の「トイレをキレイな状態に保つためのツール」から、「決まった時間にハンコを押す表」に変わったりします。
そうなってくると、チェック表にはハンコが押されているが、足元にはゴミが落ちてる、みたいな事になったりしてしまいます。
本来はお客様にいつでも気持ちよくトイレをご利用いただくためのツールだったのが、お客様に不快感を与えるツールになってしまう可能性も否定できません。
ですので、私の店には、トイレ清掃チェック表は設置していません。
競合店調査のチェックポイント~店内編~
店内のチェックポイントは、本当に多岐に渡るので、一般的な小売業・量販店でのチェックポイントを紹介します。
各業態によって見るべきポイントは異なりますが、以下に紹介する内容はどの業態でも共通する部分となりますので、最低限チェックするポイントだと思っていただければ結構です。
入り口一等地で展開している商品のチェック
まずは、店内入ってすぐの一等地に陳列されている商品をチェックしましょう。
取り扱っている商品群・価格・品揃えが一体どんなものなのか?
いわゆるお店の顔となる部分なので、そのお店が最も売りたいものが必ずあるはずですし、必ず利益商材が置かれているはずです。
この店頭一等地の力の入れ具合で、そのお店の8割は決まると言っても過言ではありませんので、ここは特に重点的にチェックしておきましょう。
また、季節催事の時期等であれば、自店で足りないもの、見逃しているもの等もチェック出来ますので、細部まで必ずチェックしておいてください。
各コーナーの一等地商品チェック
例えば、今日が9月1日だとします。
季節の催事売り場にあるべきものは何か?
そうめんつゆなのか、鍋スープなのか?
夏物処分セール品なのか、最新のAW品なのか?
ランドセルなのか、行楽関連グッズなのか?
小売業においては、日付だけでなく気温も大きな指標にはなってきますが、その調査している日によって、各コーナーの一等地に適した商品は変わってきます。
ここをどれだけ意識し、売り場に反映出来ているかで、その各コーナーの担当者の力量が計り知れるかと思います。
つまりは、店長の采配がどれだけ店舗に影響しているかもわかるはずです。
商品の品揃え・価格のチェック
消費者目線で見る場合は、これが一番大事かもしれません。
それは、品揃えと価格です。
好きなカレーも甘口だけでは飽きます。
中辛や辛口も必要でしょう。
サイズやカラーも複数あった方が選ぶ楽しみは増えます。
それと、当然ですが、価格は安いに越した事はありません。
これらの事は、売る側は当然分かってはいるのですが、なかなか難しいのが現実です。
だからこそ、その店のカラーが出る部分ではあるんですけどね。
これについては、話すと相当長くなるので、↓の記事を参考にしてみてください。
関連記事
⇒小売業の価格の決め方-3大原則を分かりやすく解説します!
⇒どこよりも安く見える価格設定の具体的な7つの手法を公開します!
従業員の仕事満足度をチェック
単純に従業員が仕事を楽しいと思えているか、です。
仕事中にも関わらず、従業員同士が楽しそうにおしゃべりをしていればそれでいいかというと、そういう訳ではありません。
従業員が仕事を楽しんで出来ているかどうかを見るには、店内で作業中の従業員に、商品の場所を尋ねてください。
商品の場所を尋ねたときに、商品の前まで案内してくれるかどうか。
これで大体そのお店の従業員の仕事満足度が分かります。
この時、笑顔で商品の前まで案内してくれる従業員は、今の仕事に満足していると思われます。
一方、仕事に追われていたり、その仕事にやりがいを感じていなかったりした場合は、その商品の前まで案内する事はおろか、作業の手を止める事なく、めんどくさそうに口頭のみで案内されることでしょう。
商品の場所を尋ねて、笑顔で案内してくれるかどうかを見れば、そのお店の従業員が本当にやりがいを持って仕事をしているかどうかが一目瞭然です。
ですので、あえて手を動かしている作業中の従業員に声をかけてみてください。
また、その際にその従業員の案内の仕方、顔の表情を見てみると、お店の中の人の状況が掴めてくるはずです。
店内販促のチェック
例えば、クリスマスやお正月、お盆等、季節の催事の際には、店内に様々な演出・ディスプレイ等がされていると思います。
その演出・ディスプレイ等の店内販促をチェックしましょう。
際物商材をどれだけ力を入れて売り込んでいるかで、その店のスタンスが見えてくるはずです。
細かい商品の品揃えや価格については、売り場の担当者の力量もありますが、店内の販促については店長の管轄のはずです。
つまり、店内販促の仕方を見れば、ある一定その店の店長の力量が見えてくると言っても過言ではありません。
特に、年末年始においては、どの小売業においても1日で店内装飾がガラッと変わってきます。
ですので、競合店の店内販促の打ち出しの確認をするのは、特に季節や催事の変わり目等にチェックするのがおすすめです。
メーカー販促のチェック
例えば、ドリンク飲料の新商品の発売日なんかに、イオン等の大手量販店に行くと、店頭一等地でメーカー販促物を大量に使って、大陳している売り場を見かけたことはありませんか?
あれって、どうしてあんなに大陳しているかというと、単純に新商品だからという事もあるのですが、あれをする事で商品の仕入れ原価が下がったり、メーカーから何がしかの販売協力金的な援助がもらえるからです。
つまり、そういった費用をかけた販促を、メーカーがお金を出してやるだけの価値がある企業・店だと判断しているという事です。
このように、メーカー販促の度合いを見れば、その店に対するメーカーから見た立ち位置、みたいなものが垣間見れるはずです。
そして同時に、同じ商品のメーカー販促について、自店とも比較してみてください。
自分の店の販促よりも、力の入れ方が強いようであれば、メーカーとしては、競合店の方があなたの店よりもランクを上に置いていると見ていいと思います。
ちょっと余談ですが、例えばドリンクメーカーでいうと、商品陳列の冷ケースなんかをチェックしてみるのもいいかもしれません。
というのも、その冷ケースにコカ・コーラやサントリー等、メーカーのロゴが入っていれば、それはメーカー手配の冷ケースになります。
冷ケースは通常の販促資材よりも遥かに高額です。
そんな高額な冷ケースを店舗に設置しているということは、それだけ投資する価値のある店舗だと判断されているという事です。
レジの接客チェック
レジは店舗の顔です。
このレジ従業員の対応で、顧客満足度の9割が決まると言ってもいいかもしれません。
実は、店のクレームの大半は、レジの対応についてです。
そのくらい、お客様はレジの対応を見ています。
ただお会計をするだけの場所としてではなく、接客の場として認識されているという事です。
見るポイントは、言葉使いと表情のみでいいと思います。
ぞんざいな言葉使いでないかどうか、笑顔であるか、この2点です。
特に、笑顔かどうか、これが重要です。
レジについては、店によって様々なマニュアルがあるとは思いますが、レジ従業員が笑顔で接客が出来るかどうかで、お客様からの評価がガラッと変わります。
つまり、レジ対応のいい店は、人気店である可能性が高い、という事です。
お客様に最後に接客するのが、レジ従業員です。
この最後の砦であるレジ従業員の印象が、お店の印象の8割を握っていると言っても過言ではありません。
レシートのチェック
最後に、レシートのチェックです。
レシートなんてどれも一緒じゃないかと思うかもしれませんが、実はそうではありません。
自分が見るべきポイントとしているのは、
②内税表示か、外税表示か
③レシート全体の見やすさはどうか
この3点を見る事で、そのお店の全体像を捉える事ができます。
レシート内広告は充実しているか
例えばQRコードを用いた販促を行っているか、イベントやセールの案内文が入っているかどうかです。
些細な事ではありますが、消費者は意外とレシート情報については細かく見ているものです。
特に主婦は、このレシートで家計簿をつけていたり、自宅に商品を持ち帰ってから、レシートを見ながら商品のチェックをしたりもしています。
ですので、レシート内広告についても、少なからず効果は見込めるはずなので、あなたのお店のレシートも今一度見直してみてはいかがでしょうか?
内税表示か、外税表示か
最近は外税方式が一般的ですが、中にはいまだに内税方式の企業・店舗もあったりします。
今後さらなる増税も考えられますので、外税方式がいいとは思います。
ちなみに、内税方式をそのまま採用している店舗にありがちなのが、レジシステムが旧式の場合が多い印象です。
消費税増税等で税率が変わる際等に、内税から外税に変更するには、そのシステム自体を変更する必要があります。
これがまた、莫大な費用が発生するんですよね。
ですので、過去の増税時にそのコストを抑えるために、内税方式をそのまま継続したのではないかと想像できます。
つまり、店舗運営資金にそれほど余裕がないのではないか、もしくはそこにコストを投資しないという運営方針、という推測が出来ます。
レシート全体の見やすさはどうか
見るポイントとしては、
2.商品名が漢字表記かカタカナ表記か
3.同一商品を複数購入した場合の表記の仕方はどうか
これらのポイントをチェックしてみて、レシート全体の情報がいかに把握しやすくなっているか、これを確認してみるといいでしょう。
ぜひ、顧客目線で見て、競合店の情報把握の手段として活用してみてください。
レシートをそこまで見る必要があるのか、と思われるかもしれませんが、競合店の健康診断という意味では十分有効な見方だと思いますので、レシートについては、穴が開くほど見ていただけるといいかと思います。
まとめ
以上、競合店の見るべきポイントを、事前情報から外観・店内に分けて紹介させていただきました。
これ以外にもまだまだチェックすべき点はあるのですが、ひとまずどの小売業態でも通じる内容について抜粋してみました。
そこまで見る必要があるのかと思われる店長もいるかもしれませんが、逆に
競合店についてそこまで見る事が出来る店長こそが、本物の店長
だと言っていいかと思います。
なぜなら、
「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」
ですからね。
ちなみに、当然ですが競合店調査後は、その内容を自店に持ち帰り、もう一度自店をチェックするための材料として活用する事をお忘れなく。
参考記事
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